彼は窓の外を見つめていた。沈む夕日が町を赤く染め、まるで彼の心の中の燃えるような痛みを映し出しているかのようだった。高校一年生の頃から付き合っていた彼女とは、ちょうど一ヶ月前に別れた。初めての恋は、ま
るで花火のように短命で、華やかだった。しかし、今はその残骸が心の中に散らばり、彼を圧迫している。
昼間は学校に行き、クラスメートと適当に話す。でも、心の奥にはいつも孤独が渦巻いていた。彼女の笑顔を思い出すたびに、胸がざわめき、切なくなった。彼女がいた時は、何気ない会話も楽しかったはずなのに、今はその楽しい瞬間が脳裏に焼き付いて、逆に苦しい。
放課後、ふらりと立ち寄った小さな公園。風が優しく彼の髪をなでる。ブランコの揺れが彼の心にも揺れをもたらす。彼は一人、何もない空間に座り込む。周りの子どもたちの笑い声が響く中、彼だけがその音の中で孤立している気がした。
彼女がくれた手紙を取り出す。そこには「あなたは私の太陽」と書かれていた。その言葉に勇気をもらい、自分を照らしていた日々があったのに、今やその太陽は雲に隠れ、暗闇しか見えない。彼は思わず笑う。太陽は自分のせいで雲に覆われたのだろうかと。心の中の彼女は、もう戻ってはこない。
ある日、彼は手紙を公園の木の下に置いた。そこは、二人がよく来ていた思い出の場所だ。「これで終わりにしよう」と彼は呟いた。彼女にさよならを告げるつもりだった。しかし、夜の風が彼の頬を撫で、何かが心の奥で弾けた。
次の日、彼はいつもどおり学校に行った。友達との会話を交わし、自分がどれだけ孤独を感じていたかを少しずつ口にすることができた。彼は初めて、自分の気持ちを吐き出してみた。すると、不思議なことに周りの友達も自分の痛みや孤独を話し始めた。彼らはみんな、どこかでつながっていた。
失恋はただの終わりではなく、新しい始まりだと気づいた。彼女がいる時代とは違い、違う道を歩む仲間たちの存在が、彼に新たな光を与えていた。切なくても、寂しくても、彼はもう一人ではなかった。彼は、彼女の言葉が自分の一部であることを理解した。あの太陽は、まだ心の中で輝いている。そして、これからも彼と共に生きていくのだと。

