「彼の言葉は星のまま」

「彼の言葉は星のまま」

彼女の心には、淡い期待が育っていた。9ヶ月も続いたメッセージのやり取りは、彼女にとって特別な時間だった。彼の言葉は、まるで夜空に散りばめられた星のように、ひとつひとつが彼女の心を照らしていく。大会で会
う約束をしても、なぜか実現しない。それでも、彼女は感じていた。距離は遠くても、心の中で彼の存在は大きくなっている。日々、彼のことを考えながら過ごすことが彼女の唯一の楽しみになっていた。

しかし、突然の出来事が彼女を襲った。インスタのアカウントが停止され、他のアカウントまでが使えなくなってしまったのだ。彼女は焦り、戸惑った。これまでのやり取りはどこへ消えてしまったのか。今や彼への道は断たれた。しかし、彼女は諦めなかった。友達に頼んで、彼のLINEを知る手段を探るが、家族以外とは繋がっていない彼。何も手がかりがないまま、ただ心の中で彼を思い続ける。

ある日、彼女はふと、彼の言葉を思い出す。『君の笑顔が好きだ』というそのフレーズ。その瞬間、彼は彼女の心の中に確かに存在していると確信した。彼女はどうにかして彼と繋がりたいと願った。迷惑をかけるのではないかと不安になる気持ちもあったが、彼への想いはそれを上回っていた。

彼女は、手紙を書くことに決めた。デートに誘う勇気はないが、彼女の本音を伝えたかった。彼女はペンを走らせ、心の内に秘めた思いを綴った。「私はあなたが特別だ。会えなくても、あなたを思っている。もしも、まるで星屑のように、私の思いがあなたに届くなら、私は本当に幸せだと思う。」彼女はそう信じながら、手紙を彼の学校に送った。

数日後、彼から一通のメッセージが届いた。彼の心も、彼女と同じように彼女を特別だと思っていたことが明らかになったのだ。「あの手紙、嬉しかった。君がどうしているか気になっていた。今度、一緒に遊ぼう。」その言葉が彼女の心に響いた。偶然が絡み合い、運命が導いた瞬間だった。

彼女は気づいた。手段が無くとも、心が繋がっている限り、どの道を通ってでも愛は育つものだと。脈が無いと思っていたのは、彼女自身が作り出した不安だったのだ。彼女の中の切なさが、今、新たな希望に変わってゆく。