「彼女の笑顔が、今も心に」

「彼女の笑顔が、今も心に」

夢の中で彼女は、まるで小川の水のように無邪気だった。彼女の笑顔は、暖かい日差しの中でキラキラと輝いている。男子校での日々、友達とのおしゃべりやゲームに没頭する中で、彼女のことを思い出す機会などなかった
けれど、その瞬間だけは、心の奥にしまっていた感情が溢れてきた。

現実では見ることのない彼女を思い出すたびに、懐かしさとともに自分の心に潜む不安がよぎる。小学生の頃の自分と、今の自分。彼女を可愛いと思う心の動きに、どこか恐怖を感じる。高校生になったばかりの自分が、本当に彼女を可愛いと思うのは許されないことなのか。それとも、この心の中に秘めた温かさは、変な人になる前触れなのか。

ある日、卒業アルバムを手に取って、彼女の笑顔を見つめた。ページの向こう側から、当時の彼女が微笑んでいる。そこには、純粋で、何の疑いもなく、ただ幸せを感じている少女がいる。自分がその頃に感じていた友情や、無邪気な心のまま、恋に似た気持ちを抱くことができた瞬間。彼女は、そのすべてを思い出させてくれた。

この不思議な感情は、単なる郷愁ではなく、心の奥に隠れていた自分自身の一部だったのだと気づく。昔の自分と今の自分が交差する瞬間。彼女の存在は、自分が本来持っていた感情の大切さを教えてくれる。無邪気な心を忘れたわけではないと、思い出させてくれる。

彼女の姿を思い出すたび、さらに深まるこの気持ち。恐怖ではなく、温かさを感じていたことに気づく。彼女が教えてくれたのは、心の中の無邪気さを受け入れること。誰にでも生まれたての純粋さがあって、それがかけがえのないものであると。

時間は流れ、やがてその思い出は色褪せていくかもしれない。しかし、彼女との思い出を胸に、心の中の小さな光を絶やさぬように生きていく。そう、彼女が持っていたその無邪気な笑顔は、自分自身を取り戻すための大切な鍵だったのだ。