犬の襲撃による賠償請求の方法と注意点

犬の襲撃による賠償請求の方法と注意点

読者からの質問:
妻がノーリードの犬に襲われて流血し、救急搬送されました。歯形の残る傷で通院を20回行い、今後も傷痕が残る見込みです。精神的ショックも大きく、心療内科の受診も予定しています。加害者側は東京海上日動の個人賠償責任保険に加入しており、慰謝料や通院・休業補償が提示される段階にあります。しかし、初動では謝罪もなく、警察や救急への連絡もせず、加害者本人は保険会社に全て任せると言い、その後は完全に対応を放棄しています。

そこで質問です。保険会社からの補償(慰謝料・通院・休業補償)を受け取りながらも、示談や請求放棄には同意せず、加害者本人に対して保険金では到底見合わないとして、少額訴訟などで慰謝料の追加請求をすることは可能でしょうか?東京海上日動の実務上の運用や書類上の注意点について知っている方がいれば教えていただきたいです。加害者とは直接の示談交渉はしておらず、誠意も見られません。

犬の襲撃事件から考える賠償請求の悩み

突然の出来事が、日常を一瞬で変えてしまうことがある。最近、そんな経験をした読者から質問が寄せられた。妻がノーリードの犬に襲われ、流血沙汰になったという。通院も20回を超え、傷痕の残る見込みだというのは、聞いているだけでも心が痛む。あまりにも過酷な状況だ。

犬の襲撃事件の現実

犬との接触がトラウマになってしまうのも無理はない。加害者側の無責任さ、保険会社の対応など、さまざまな問題が絡み合っている。この事例のように、犬の所有者がしっかりとした責任を持っていない場合、被害者がどれほどの苦痛を味わうことになるのか、考えさせられる。

さて、質問の主旨に戻ろう。保険会社からの補償を受け取りつつも、加害者に対して追加の慰謝料請求をすることは可能なのか、という点だ。結論から言うと、これは十分に可能である。

保険金を受け取りながらの追加請求について

保険会社からの補償を受け取ることは、通常は示談に向けた手続きの一部であり、慰謝料や通院費用、休業補償をカバーしてくれる。しかし、ここで注意すべきは、保険金を受け取ったからといって、その額が被害の全てを補填するものではないという点だ。

例えば、東京海上日動のような大手保険会社は、実務上、一定の基準に基づいて補償を行う。しかし、その金額が実際の被害や精神的苦痛に見合っているとは限らない。裁判所が認める慰謝料の額は、状況によって大きく異なるため、保険会社が提示する額はあくまでその一部に過ぎないことを理解しておくべきだ。

少額訴訟の選択肢

加害者に対する少額訴訟を考えるのは、理にかなった選択肢である。少額訴訟は、簡易な手続きで迅速に解決を図ることができるため、時間的なコストも抑えられる。一般的には、請求額が60万円未満の場合に適用されるが、慰謝料や通院費用の追加請求もこの範疇に含まれることが多い。

もし加害者側が謝罪もせず、警察や救急への連絡も怠っているのであれば、彼らの責任は一層重くなる。加害者が保険会社に全てを任せてしまったという状況は、責任逃れのように感じられ、被害者としては納得がいかないだろう。そこで、少額訴訟を通じて、正当な賠償を求めるのは合理的なアプローチだ。

書類上の注意点

さて、具体的に少額訴訟を起こす際の書類上の注意点についても触れておこう。準備が大切なのは言うまでもない。まず、被害の証明が重要だ。通院の回数や治療内容、医師からの診断書、さらには精神的苦痛を証明するための心療内科の受診記録も集めておく必要がある。

次に、加害者に対する請求書を作成し、どの項目に対してどれだけの賠償を求めるのかを明確にしておくことが大切だ。また、保険会社からの補償内容や額も記録しておき、全体の額と照らし合わせることも忘れずに。

精神的苦痛について

精神的苦痛に対して請求を行う場合、具体的な証拠が必要となる。心療内科の受診記録や医師の意見書があれば、より強力な証拠になる。こうした証拠があれば、精神的苦痛に対する慰謝料の請求も可能になる。

また、加害者の態度や行動についても記録を取っておくと良い。謝罪がなかった、連絡を放棄された、そういった情報も、裁判での判断材料となる。被害者の側から見た加害者の行動を詳細に示すことで、裁判所がどのように判断するかを左右する要素となるだろう。

まとめ

犬の襲撃という不幸な出来事が引き起こした一連の問題。加害者の無責任な対応に心が折れそうになることも多いが、法的にはしっかりと権利を主張することができる。保険金を受け取りながらも、追加の慰謝料請求を行うことは可能であり、少額訴訟などの手段を検討することが重要だ。

大切なのは、正しい情報を元に冷静に行動すること。様々な証拠を集め、書類を準備し、必要な手続きを進めていくことが、最終的に正当な賠償を得るための道となる。どんなに辛い状況でも、諦めずに自分の権利を主張することが、少しでも心の平穏につながることを願っている。

このような辛い経験を抱える方が少しでも助けられることを願う。必要であれば、専門家に相談することも視野に入れ、自分自身の気持ちを大切にしてほしいと思う。