高校の帰り道、桜並木の薄桃色の花びらが舞い落ちる。この季節になると、友達と笑い合った日々が思い出される。彼女と私、Aちゃん。彼女はまるで太陽のようだった。いつも明るくて、私を照らしてくれる存在だった。
でも、失恋の影が彼女を覆い始めてから、彼女の光は徐々に消えていった。
友達の輪が狭まっていく中で、Aちゃんだけがふいに姿を消した。最初の数日は、彼女が忙しいだけだと思っていた。しかし、次第に彼女の存在が私の心に深い不安をもたらすようになった。彼女の笑顔が思い出せない。代わりに、悲しみに沈んだ目を持つ彼女の姿が頭を離れない。
友人たちから聞いた噂は耳に痛い。飲酒や喫煙、そして警察に捕まったという話。そんな彼女を思うと、胸が締め付けられる。何かしらの助けが必要だと、私は思った。だけど、どうすればいいのだろう？連絡を取ろうとしても、彼女の番号はもう使われていない。SNSも更新されず、虚無だけが忍び寄る。
私の心に映る彼女の影は、まるで逆さまの世界の中でひとりぼっちのようだった。彼女はどこにいるのだろうか。自分を見失っているのだろうか。少しでもいいから、彼女の声を聞きたい。苦しんでいるなら、私はそばにいたい。どうしたら、彼女を取り戻せるのだろう。
ある日、偶然彼女の昔の友達に出会った。彼に話を聞くと、Aちゃんが一時的に別の街にいることがわかった。今は、静かに心を落ち着ける時間が必要なのだと。彼の言葉は、私の心の中で大きな波となって広がった。この時間が、彼女にとって必要なものだったのだと。
私は彼女に手紙を書くことにした。「待っているから、Aちゃん。あなたのことを心から想っているから。どんなに遠くにいても、あなたの光を信じている」と。手紙は、彼女の心にそっと寄り添えるように、優しい言葉で綴った。いつか、彼女がその手紙を手に取り、再び笑顔を取り戻してくれることを願いながら。
あの日の散りゆく桜の花びらのように、彼女もまた、再び舞い上がる日が来るだろうと信じた。この世界に、彼女の光が戻ることを。その時、私たちの友情は、さらに深い絆となって結ばれるに違いない。彼女が選んだ道が、どんなものであれ、私はずっと彼女のそばにいるのだから。
