彼女は、夜空を見上げながら思い悩んでいた。星々は煌めき、彼女の心の奥底での痛みを無視するかのように瞬いている。過去の恋が、まるでリフレインのように心の中で繰り返される。彼女はもう、二度と恋をしないと決
めたはずだった。だが、運命は残酷で、再びその感情に翻弄されることになった。
新しい出会いは、彼女を一瞬だけ夢中にさせた。笑顔を交わし、共に過ごした時間は、彼女の心の抜け殻に少しだけ温かさをもたらした。だが、その関係は短命で、彼女は再び一人となった。心の中の傷口が、再び痛みだし、今度は酒に逃げる自分がいた。
忘れたくても忘れられない過去。それはまるで肌に刻まれた傷のようで、どれほど時間が経っても癖になる。彼女は、涙を流しながらアルコールを喉に流し込む。これが唯一の救いであり、同時にさらなる苦痛をもたらすことも知っていた。周りの人々の声は、遠くに響いて、自分を包み込む温もりを感じられなかった。
ある晩、彼女はまた同じ場所に座っていた。その時、ふと視界に入ったのは、夜空を飛ぶ流れ星だった。彼女はその光に思わず手を差し伸べた。心の奥で願ったのは、過去の痛みから解放されたいということだけだった。しかし、流れ星は彼女の願いが届くこともなく、瞬時に消え去ってしまった。
それでも、彼女は思った。流れ星は消えたけれど、新たな星が生まれる。痛みも再生の一部なのだと。あの時の失恋は、彼女が成長するための試練なのかもしれない。心の奥で再び恋をする準備が整うまで、彼女はこの日々を大切にしていこうと思った。痛みを抱えながらも、繋がっていく日常の中で、少しずつ自分自身を取り戻していくのだ。
彼女の涙が流れ、少しだけ心が軽くなるのを感じた。彼女は気づく。大切なのは過去を思い悩むことではなく、未来に目を向けることなのだと。だから、彼女はもう一度、星を見上げる。次の流れ星を見逃さずに、心のどこかで新たな出逢いを待ち望む。
